国別にみる、コーヒー豆の味わいの違い。産地でコーヒーを選ぶ基準をご紹介!

チャーユー

今日は、お待ちかね。産地によるコーヒーの味の違いについてお話しします!

海丸

お、ついに!ぶっちゃけここが一番知りたかった。

チャーユー

ただ何度も言及していますが、、
焙煎度と生産処理法、この2つは産地以上にコーヒー豆の味わいにインパクトをもたらします。なので、コーヒー豆を選ぶときにはその2つをまず気にしてください。

海丸

それが意外なんだよね。みんな国名とかで「ブラジル好き」とか「エチオピア派」とかなのだと思ってた。

チャーユー

そうなんです。あともう一つ大事なことが、同じ国でも、生産者や年、地域の土壌や気候などによって結構違うので、あくまで今日のお話は参考値として捉えてくださいね。

先にざっくり見せると、こんな感じです。

  • アフリカ→キリッとした酸味とフレッシュなフルーツ感な風味
  • ブラジル→酸味が控えめで、ナッツやチョコレートのような風味
  • 中米→バランスの取れた酸味と、花やりんご・葡萄などのような風味
  • その他南米→コクと酸味は少し強めで、少しアフリカに近いフルーツ感と花のような風味
  • アジア→ハーブやお茶のような独特の風味

といった感じになります。全てが全て当てはまるわけではないですし、農園によってさまざまな取り組みをされていたりもするので一概には言えませんが、ざっくりとこのような個性が出てきます。柑橘

記事の内容

まずは、何が違うのか知ろう

コーヒー豆の味が、なぜ産地によって変わるのか?ということから理解しましょう!
答えは、標高、気候&土壌、品種。この3つが違うからです。

標高が違う

基本的には、標高が高いほどコーヒー豆の品質は上がっていきます。昼夜の寒暖差が激しい地域であるほど、コーヒーが栄養を豆の中に溜め込もうとするので、その分酸味と香りの量、複雑さが増していくからです。例えば、アフリカには高い山が多く、コーヒーの産地も2000m越えの高地が多い一方、ブラジルは1000-1300mぐらいの平地が多いです。それが、フルーツ感や酸味の量の差につながっています。

気候が違う

これは国によってもそうですが、地域や農園によっても違うので、パターンが無限にあります。笑 雨量や気温も違えば、土壌の栄養分なども変わってくるので。他の果物や野菜でも同じですよね?青森産のりんごと長野産のりんごは別物だと思うのですが、コーヒーもそうやって気候や土壌に大きな影響を受ける、とだけ覚えていただけたらいいかと。

しかも気候の違いは、生産処理にも影響するので、他の条件が同じでも、気候が違うだけで全く違ったコーヒーの味が出来上がります。

品種が違う

品種は産地の一部なの?と思われるかもしれません。しかし、地域の特性を生かせる品種の開発・選定がそれぞれで進んでいる、地域の環境で突然変異が結構生まれる、初めてコーヒーが伝わった時の品種がそもそも違う、などの理由で地域ごとに品種がかなり違うのです。

とはいえ品種は本当に沼なので、それぞれの産地で品種にも特徴があって、それによって味が違う、ぐらいでいいかなと。
例えばケニアで有名なSL28/SL34という品種は、カシスやざくろのような酸味・風味が特徴的です。しかしこれはケニアの土壌や気候に合わせて開発された品種で、基本はケニアにしかありません(最近は中米でもちらほらありますが、味が結構違います)。超フルーティーなエチオピア原生種はエチオピアにしかありませんし、花の香りが爆発するゲイシャ種も、パナマ等の一部地域の気候と合って初めてその香りが出ると言われており、どこでも栽培されているわけではありません。

海丸

この3つの組み合わせで味が変わってくるんだね!

チャーユー

ですね!パターンは無限で、一つ一つ実際に飲んでみないとわからない、というのが本音ではあるのですが、国や地域ごとに方向性は近かったりするので、ここではそれを紹介できたらと思います。

チャーユー

最後にもう一度。国や地域によっての差が結構あること、全てのコーヒーを飲み比べてコメントをするのは不可能なので、あくまで私が今まで実際に飲んだ中での傾向値(それでも100種類以上はあると思いますが)になります。他の人と言ってることが違ったらごめんなさいね!

アフリカ

アフリカの味わい

フルーツ感が好きな方、酸味に抵抗がない方に特におすすめです。
標高が高く、酸味が強めな豆が多いです。柑橘やベリー系をはじめとした、フルーティーな風味も大きな特徴で、他の地域では味わえない独特の香りを持っています。

もし酸味が苦手なのであれば、まずは酸味の穏やかなナチュラルの豆から試してみるのもいいかもしれませんね!

アフリカの代表的な豆

エチオピア

コーヒー発祥の地、エチオピア。少し前までは「モカ」と呼ばれることが多かったこの豆ですが、実は「モカ」は港の名前です。今のスペシャリティコーヒーは生産者単位でロットを管理するため、モカって名前は使わないですね。むしろ、モカって名前をみると、「あ、この豆の品質あまり高くない(=港までしか管理できていない)のかな」と思ってしまいます。

話がそれました。
味わいはウォッシュドとナチュラルで大きく違いますが、どちらも他の産地では絶対に見られない独特の風味を持っています。ウォッシュドはシトラスやピーチティーのような風味ナチュラルはベリーやトロピカルフルーツ系でどちらもフルーティさが際立っており、スペシャリティコーヒーの良さを感じられること間違いなしです。

ケニア

私的に、国単位で見て世界で最も酸味が際立つコーヒーではないかと思っています。独特なカシスやザクロのような香り、グレープフルーツのようなキリッとした酸味が特徴です。ナチュラル精製はほぼなくて、大半がウォッシュドです。ケニアはSL28/SL34という品種がメインですが、そのフルーティーさでとても有名です。

ブラジル

ブラジルの味わい

一つ目にアフリカ、と地域で紹介したのに対して、ブラジル。階層が揃っていないことに違和感を覚える方もいらっしゃるかもですが、ブラジルだけ南米で見ても全然味が違うので分けました。

ブラジルは全体的に標高が低く、酸味が少ないことが1番の特徴です。スペシャリティコーヒーの香り高さやスッキリ感は好きだけど、酸味が苦手な方に特におすすめです。甘いチョコレートやキャラメルのような風味が特徴的で、上質なものは、オレンジのような控えめな酸味や淡い柑橘系の風味を持っていたりするので、フルーツのパウンドケーキなどともよくあいますよ。

ちなみにお店でもブラジルはとても人気で、うちのおばあちゃんも大好きな豆です。昔ながらのコーヒーを飲み慣れていて、「スペシャリティコーヒーはちょっと、、」と思っている方にも、ぜひおすすめしたい産地です!

中米

中米の味わい

バランスの取れたコーヒーを求めるなら、中米かなと思います。
りんごなどのような少し落ち着いた酸味をベースに、ジャスミンなどのフローラルな香りを纏ったものが多いです。アフリカほど尖った酸味があるわけではなく、かといってブラジルほどマイルドでもないので、酸味に抵抗がなければ試してみるのをおすすめします!

ただ、中米の豆はめちゃめちゃ差が大きいです。新しい生産処理方法が日夜開発されており、農園によって全く違う味わいになることが多いこと、また品種のバラエティが豊かで、味わいの差が大きいことが挙げられます。なので、中米はは飲んでからのお楽しみ、が多いかもしれません。笑

毎年のように新しい手法で作られた豆が登場する、時代の最先端が中米です。世界中のコーヒー好きが注目するコーヒー、一度試してみては?

中米の代表的な豆

コスタリカ

酸味や口当たりは比較的あっさりで、フルーツ感や花のような香りが複雑に絡み合った印象が強いです。が、コスタリカは豆によって(特に生産処理によって)味わいが違いすぎて、こんな味、という言い切りが難しいです。今まで色んなコーヒーを飲んできましたが、コスタリカほど味の違いにバラツキがある国はありません。コスタリカは、パッケージに書いてあるコメントを見てもらうのが一番いいかもしれませんね。笑

エルサルバドル

現代の最高傑作と言われる交配種、パカマラ種の生まれ故郷、エルサルバドル。エルサルバドルのコーヒーは、バランス派のものが多い印象です。中米の中でも特に酸味は控えめで、柑橘・ベリー系の風味にチョコレートのような甘さが乗っかるコーヒーです。うちではこれも幅広いお客様に人気です。

パナマ

有名なのはやはりゲイシャ種。エスメラルダ農園のゲイシャは特におかしな値段をしています。
パナマのゲイシャ以外のコーヒーは、他の中米の豆と近しい味わいが多いので、ここではゲイシャだけ。

パナマゲイシャは、圧倒的な花感。フラワーブーケのような複雑な香りが飲んだ瞬間に口の中に広がります。明らかに他のコーヒーとは違う飲み物になるので、高いですがチャンスがあれば一度飲んでみるのもおすすめします。

グアテマラ

グアテマラは、南部の火山性土壌を持つアンティグア/アカテナンゴ周辺と、北部の非火山性ウエウエテナンゴで味わいが結構変わります。前者は、バランスの取れた味わいにチョコレートのような風味が乗っかるのに対して、後者は特に標高が高くなるので少し尖った酸味に、花やフルーツ系の味わいが強くなります。超有名農園「エル・インヘルト」があるのもウエウエテナンゴで、毎年とんでもないクオリティのコーヒーが生産されています。

その他南米

南米系の味わい

南米の中でも北部、コロンビアやエクアドルなどが代表です。
感覚的には、アフリカと中米系の中間のような味わいです。中米系のもつ穏やかな花のような香りと、アフリカ系が持つようなフルーティー感や酸味、コクがうまくバランスしているものが多いです。特にコロンビアは標高が2000mを超えてくるようなところもあり、酸味が強めのものが多いですね。

南米の代表的な豆

コロンビア

中南米の中でも口当たりや酸味が少し強めです。最近はコロンビアでもゲイシャ種の栽培が盛んになっていたり、アナエロビックファーメンテーションという、酸素を使わない発酵方法を開発したりと、色々実験的なコーヒーが多いのも特徴ですね。生産処理が変わると味わいが大きく変わるので、豆によって風味が、トロピカルフルーツ、りんご、ベリー、柑橘系、フローラルなど、とっても多岐にわたります

エクアドル

こちらも酸味とコクは結構強めに出てくるものが多い印象です。私が飲んだものの中では、風味がコロンビアよりもアフリカ(特にケニア)に近い味わいのものが多いです。高品質なものでは、重めの口当たりにベリー系の香り、それに中南米特有の花のような香りが合わさります。ケニアと1:1の比率でブレンドしても美味しかったですね。

ボリビア

ボリビアは、南米の中でもチョコレートやお茶のような香りに近くなります。南米らしい豊かなコクと酸味を持ちながら、花のような香りを併せ持つコーヒーになります。ブラジルよりも酸味はありますが、香りの系統は少し似ていて、酸味が苦手な方からもお店では好評です。

アジア

アジアの味わい

アジアでの有名どころはインドネシアですね。マンデリン、といえば聞いたことがあるかもしれません。
特徴を一言で言うと、強めの口当たりと独特な風味です。普通のコーヒーよりもちょっと違う、変わり種のものに興味がある方はぜひ試してみていただきたいです。豆によっては土のような香りや、ハーブのような、少し薬膳のような香りを持っているのもありますね。

アジアではまだまだスペシャリティコーヒーの栽培が進んでおらず、生産量はベトナムやインドネシアが多いのですが、スペシャリティコーヒーはまだまだ少ないです。なので、現段階で私が勧めるとすると、スペシャリティと名が付いているのを前提で、インドネシア、インド、台湾のコーヒーかなと思っています。

アジアの代表的な豆

インドネシア

ちなみにマンデリン、というのはインドネシアの豆です。
インドネシアは口当たりがとても強く、独特なハーブ・土のような香りを併せ持つ異色のコーヒーです。スマトラ式と言われる特殊な生産処理方法(乾燥を半乾きで進めてしまう強引な処理法)もその要因と言われていますね。伝統的には雑味を隠すために深煎りが多いですが、高品質なものは浅めにしても美味しく飲めます。ナチュラル精製のものも、トロピカルフルーツのような味わいが美味しいです。

台湾

生産量は少ないですが、独特の風味が特徴です。特に阿里山のものが有名ですが、台湾中で生産は行われています。
台湾の豆は、台湾らしく烏龍茶や龍眼(ライチのような少し癖のある果物)のような味わいや、花のような香りが特徴的なものが多いです。少し値段は高く取り扱っている所も少ないのですが、台湾の豆でしか出ないような風味が結構あるので、一度試してみる価値ありです。

インド

ベトナムやタイと同じく、一般的コーヒー用の栽培がメインですが、最近は少しずつスペシャリティコーヒーも増えています。酸味が控えめで口当たりが強いのが全体的な特徴です。友人のカフェでケント種というインドで開発された品種のコーヒーを飲んだのですが、落ち着いた味わいのなかに花のような香りが隠れていて、すごく美味しかったのを覚えています。まだ開発途上の市場だとは思いますが、今後色々なものが出てくることに期待ですね!

チャーユー

いかがでしたか?
あくまでざっくりの特徴なので、実際はそれぞれ飲んでみないと、ではありますが、コーヒー豆を選ぶ指針になってくれれば幸いです。
また機会を見て、それぞれの国を詳しく説明しますね!!

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この記事を書いた人

チャーユーのアバター チャーユー バリスタ / クリエイター

台北出身の台湾人です。
2017年に台南のコーヒーショップ「加加家珈琲」をオープン、2020年には新コンセプトの2店目「Saudade」を開きました。コーヒーや店舗オープンだけでなく、スイーツ開発、アクセサリー作り、陶芸、作曲、イラスト描きなど自分で一からものを作り出すのが好きで、日々色々と試行錯誤をしています。

台湾人は、ゆるくて楽観的、そしてとても元気です。コーヒーについてももちろんですが、私はここで台湾の面白さや、生活のヒントみたいなものを紹介できたらと思っています!

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