
海丸くん。今日は、コーヒー豆を選ぶ時の、隠れ重要ポイントを教えます。ズバリ、生産処理です。

生産処理、、、?

コーヒーは、実を収穫し、そこから豆を取り出して乾燥させたりして、やっとコーヒー豆となります。その豆の収穫から出荷までのプロセスを生産処理って呼んでます。


これがコーヒーの実ですね。普段見るコーヒー豆とは似ても似つかない。

なるほど。で、それが何か。

生産処理のやり方によって、コーヒー豆の味わいが全然変わっちゃうんです!!同じ茶葉から、発酵具合を変えることによって烏龍茶や紅茶や緑茶ができるのと同じです。

(そもそも紅茶と緑茶って茶葉同じなのか、、)
じゃ、今日は生産処理の違いでどう味が変わるかを説明してくれると!

その通り!生産処理を知ることで、自分の好きな味わいのコーヒーにたどり着く近道になります。ではスタートです!
はじめに
「ウォッシュド」とか「ナチュラル」って聞いたことありますかね?これが生産処理方法の名前です。
スペシャリティコーヒーであれば、パッケージ(か説明文)に必ず記載がされています。
この記事で記事でお話する事は、下の図が全てです。(雑ですいません)

なので、酸味やスッキリ感がお好きであればウォッシュドを、コクや甘いフルーツ感がお好きであればナチュラルを選ぶ、というのがざっくりとした方向性になります。ハニーはその間なので、バランスタイプですね。
さて、詳しく見ていきましょう!
全体のプロセス
まずは全体の流れから。
精選、発酵、乾燥。この3つのプロセスを合わせて生産処理と呼んでいます。
精選
熟度の高い豆を選別するプロセスです。目視で欠点豆を取り除くハンドピッキングや、水に浮かべて比重で分別する方法がとられます。特にナチュラル処理では、乾燥後の精選が非常に難しいということもあり、乾燥前にどれだけ欠点豆を取り除けるか、というのが品質の肝となります。
発酵
精選や乾燥がコーヒー豆の品質の良さに影響するのに対し、発酵プロセスはコーヒー豆の味わいの違いに影響を与えます。コーヒー豆と果実の間の粘着層を分解しながら、発酵による化学変化で多様な風味を作り出すプロセスです。
乾燥
コーヒー豆は基本的に船で輸出されます。何ヶ月にも渡る船旅でも品質を維持するため、水分量11~12%まで乾燥させることにより、劣化や雑菌の繁殖を防ぎます。天日干しで乾燥させるのですが、温度が上がりすぎると腐敗が進んでしまったり、時間をかけすぎると風味や味が低下するほか、一定の頻度でかき混ぜないと豆ごとの乾燥具合がバラバラになってしまって品質が下がったりと、最後まで手間がかかります。

精選と乾燥については単純に質の問題なので、この記事では2つ目の発酵プロセスの違いと、味わいの違いについて説明していきますね。
ナチュラル

ナチュラルの味わい
非水洗式ともよばれます。でも今はナチュラル、と英語で呼ばれることの方が多い印象ですね。
強いフルーツ感、穏やかな酸味、強めの口当たり、の3つが大きな特徴です。豆によっては発酵感が強く、熟したトロピカルフルーツやワイン、ウィスキーのような香りを醸し出すものもあります。私がスペシャリティコーヒー初心者にまずおすすめするのはエチオピアのナチュラルなのですが、明らかに普通のコーヒーと違う味わいが楽しめますよ。
ナチュラルの具体的なプロセス
他の生産処理と比較してもシンプルです。
- 摘み取ったコーヒーの実を、そのまま天日干しして乾燥させる(約30日)
- 果実部分を脱穀機(パルパーと呼ばれる)で取り除く
- おわり
ナチュラルは、収穫して乾燥させるだけ。特に大きな機械設備を必要としないので、安価でできるのが特徴です。ただし乾燥に時間がかかるため、雨がよく降る地域ではコントロールが難しく、またある程度の敷地面積が必要です。ブラジルなどは平地が多いのでパティオと呼ばれるレンガやコンクリートで作られただだっ広い乾燥場が使われ、アフリカなど山地ではアフリカンベッドと呼ばれる、山の斜面に則して作られた高床式の乾燥場が使われます。
また、果実をつけたまま乾燥させるので、発酵の過程で果実の風味が豆に移り、フルーティーさが強まります。ただし、天日干し中の発酵具合のばらつきを防ぐために、かなりの頻度でかき混ぜる必要があり、手間がかかります。また、乾燥後は成熟した赤い果実も、未成熟の青い果実も同じ茶色いレーズンのような見た目になってしまうので、乾燥後の精選が難しいです。乾燥前後でちゃんと見ているとは思いますが、どうしてもナチュラルは精選の難しさから全体的に欠点豆の混入が多いです。焙煎する際、かなり入念に欠点豆を取り除いてあげる必要があるのが大変ですね。
ウォッシュド

ウォッシュドの味わい
水洗式とも呼ばれ、綺麗な酸味が際立つ処理法になります。柑橘系、フローラル系の香りが出やすく、キリッとスッキリした味わいの豆になります。発酵感が苦手という方や、あっさりしたコーヒーが好きな方におすすめです。ナチュラルほど分かりやすく違うコーヒーではないので、少し上級者向けかも。繊細な味わいを楽しみたい方は、ぜひウォッシュドをトライして欲しいです。
酸味が苦手だと少し慣れが必要かもしれませんが、豆本来の特徴が最も出やすい処理法でもあり、私は一番好きです。
ウォッシュドの具体的なプロセス
- 摘み取ったコーヒーの実を、脱穀機にかけ、果実部分を取り除く
- 粘液質(ミューシレージと呼ばれる)に包まれた豆が出てくるので、それを1-2日程度、発酵槽と呼ばれる水の入ったタンクの中で発酵させ、粘液質を分解する
- 水路を通し、比重選別を行う
- 天日干しをする
発酵槽を使う、というのがウォッシュドの最大の特徴で、この水洗いするようなプロセスからウォッシュド(washed)と呼ばれているんですね。水で比重選別ができ、欠点豆の選別が容易なので、品質が保ちやすいのも特徴です。
ウォッシュドは元々、乾燥時間削減のために考え出された処理法です。ケニアやコロンビアなどの山岳地帯は、乾季でも雨が降ります。そうするとナチュラルのように、果実も粘液質もくっついたままでは、乾燥に時間がかかりすぎるんですね。乾燥時間を長く取りすぎると、腐敗や嫌な臭いのリスクが高まるため、先に乾きにくい果実を取り除き、粘液質を洗い流してしまおうというのが始まりです。
ウォッシュドは大量の水を使い、かつ発酵後の水は産業廃棄物となるので、豊富な水源と汚水処理施設が絶対条件。できる地域が限られます。設備投資にお金がかかる他、環境にもあまり良くないので、セミウォッシュドと呼ばれる、脱穀機で機械的にミューシレージまで取り除いてしまう(発酵槽を使わない)生産処理や、後述するハニー製法によって、水の量を減らす精製方法が増えています。
ハニー(パルプトナチュラル)

ハニーの味わい
ハニーは、ウォッシュドとナチュラルの間の味わいを併せ持っています。甘さが特に際立つ処理法と言われていて、穏やかな酸味とフルーティーさのバランスがとても良いです。
ハニーには実は色々あって、ホワイト・イエロー・オレンジ・レッド・ブラックのように名前がついています。基本的には色が薄い方がウォッシュドに近く、濃い方がナチュラルに近いと考えていただければOK。ホワイトハニーは実は前述したセミウォッシュドと同じで(つまりほぼウォッシュドの味わいです)、レッドハニーやブラックハニーはナチュラルのようなフルーツ感の強い味わいになることが多いです。
ハニーの具体的なプロセス
- 摘み取ったコーヒーの実を、脱穀機にかけ、果実部分を取り除く
- 水路を通し、比重選別を行う
- 天日干しをする
ハニーは、途中まではウォッシュドと同じです。ただ発酵槽を使わず、粘液質がついた状態で天日干しにして発酵&乾燥を行います。果実を取り除くところはウォッシュド、発酵プロセスはナチュラルと同じ、というハイブリッドですね。こうするとウォッシュドの欠点であった大量の水や大掛かりな設備投資が必要なく、かつナチュラルの欠点であった比重選別ができないところも解消、さらに乾燥時間が短くなるので、出荷までの時間が早くなるという、、メリットだらけの処理法が生まれました。ブラジル、さすが生産量世界一位ですね、視点がシャープです。
なんでハニーって呼ばれるの?
ハニーはスペイン語でMiel、そして粘液質のスペイン語もMielです。つまり、粘液質がついたまま乾燥させるので、ハニーという名前になりました。笑 ただ、粘液製法みたいな名前になるよりも、甘いイメージが出て可愛いので、私はハニーという名前で良かったなと思っています。

いかがでしたでしょうか?今回は簡単に3つの処理法の違いについて説明しましたが、今日紹介したもの以外にも実はたくさんあります!そちらはまた次回の更新を乞うご期待!
あ、最後にまとめで一枚載せておきますね。こちらを参考にお好きな豆を選んでみてください!

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